クリニックBLOG

2014.08.02更新

ステロイド薬使用は大腿骨骨折の2番目に強い危険因子の第2位であると報告されている。ステロイド性骨粗鬆症の正確な患者数はわかっていないが、3カ月以上ステロイドを使用している人が約150万人とされることなどから、全国100-200万人と推定される。
ステロイド投与により少量でも早期に骨折リスクが高まり、3-6カ月で骨折リスクがピークに達する。ステロイド性骨粗鬆症では短期間で骨質が著しく劣化し、骨密度が正常であっても骨折率が上昇する。脆弱性骨折により4年間死亡率が大腿骨骨折で6.7倍、脊椎骨折で8.6倍に高まり、骨折を起こさないことが重要である。ステロイド性骨粗鬆症はわれわれの処方する薬剤により引き起こされるものもあり、的確な予防と管理、治療が必要である。ステロイド性骨粗鬆症に関するガイドラインは1996年に米国リウマチ学会(ACR)より初めて発表された。その後、ビスホスホネート製剤をはじめ新規骨粗鬆症治療薬が登場し、その臨床試験が報告され、各国のガイドラインおよび米国・英国の改訂版が発表された。日本では2005年に「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2004年度版」が発表された。 初めて一次予防が提唱されたのは2001年のACRの改訂ガイドラインで、プレドニゾロン5mg/日以上、3カ月以上を投与予定の患者に対しステロイド投与開始と同時にビスホスホネート製剤の投与が推奨された。また、投与量にかかわらずステロイド投与によって骨折リスクが高まることが報告され、2002年の英国の改訂ガイドラインではステロイド投与量の記載が削除された。2007年にはWHOから骨折リスク評価ツールFRAXが発表され、その後の欧米のガイドラインで採用されている。欧州では医療経済学的な面も考慮し、年齢に応じて治療介入基準を引き上げている。また、ステロイド投与量に応じてFRAXに係数を掛けるフレームワークが発表されている。リウマチ膠原病の患者さんの骨の管理は重要である。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.07.07更新

痛風と高尿酸血症は心血管(CV)リスク増大と関連している可能性があるが、さまざまな集団を対象とした解析は矛盾する結果を示している。本研究では、血清尿酸値、炎症および従来のCVリスクパラメータが痛風性関節炎(GA)患者および痛風を持たないリウマチ性疾患患者におけるCVイベントリスクに及ぼす影響を検討している。GAではCVイベント新規発症のハザードが3.1倍に上昇した。痛風を持たないリウマチ性疾患患者では、血清尿酸値の上昇はCVリスクの増大と関連しているのに対し、GAにおけるCVリスクは血清尿酸値と無関係である。GAの存在またはベースライン時の血清尿酸値が正常範囲上限にあることは、従来の一部のCVリスク因子や炎症パラメータよりも強力なCVイベント予測因子である可能性がある。尿酸値は、存外重要な指標である。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.07.03更新

現在、関節リウマチ薬として保険承認されている生物学的製剤は7剤あります。TNF-α阻害薬は、登場順にインフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ・ペゴルの5種類。TNF-α阻害薬以外には、IL-6受容体抗体薬のトシリズマブと、抗原提示細胞のCD80、CD86に特異的に結合して、T細胞の活性化を抑制するアバタセプトがあります。
投与法で分類すると、TNF-α阻害薬のインフリキシマブとT細胞活性化抑制薬のアバタセプトが点滴静注、インフリキシマブ以外のTNF-α阻害薬であるエタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブセルトリズマブ・ペゴルは皮下注製剤です。
IL-6受容体阻害薬のトシリズマブは点滴製剤に加え、皮下注製剤が承認済みですし、点滴投与の生物学的製剤のうちアバタセプトも、近く皮下注製剤が承認されました。もともと点滴製剤として開発された薬剤に皮下注製剤が加わるのは、患者さんのニーズがあるからでしょう。自己注射が可能な皮下注製剤の普及は、ひとつのあるべき方向だと思います。
関節リウマチ治療において、メトトレキサート(MTX)などの抗リウマチ薬を上限まで増量しても十分な改善が得られない場合、生物学的製剤の使用を考えます。その際、どの生物学的製剤から使うという規定はありません。ただし、歴史的にインフリキシマブやエタネルセプトから導入が進んだので、リウマチ臨床医はTNF-α阻害薬から使い始めようとするのが一般的でした。
現在では、どの生物学的製剤から使い始めても効果的に治療ができると考えてよいでしょう。その中で、薬剤を使い分ける判断基準の1つになるのが投与法です。そのため、患者さんに生物学的製剤を勧める場合、投与法の違いを説明した上で、どの薬を使いたいかを希望を聞くのが重要でしょう。
もう1つ、どの生物学的製剤から開始するかを決める要素になるのが、メトトレキサート(MTX)を使えるかどうかです。MTXで副作用がある場合や妊娠を希望している患者さんの場合、MTXの併用はできません。一般にTNF-α阻害薬はMTXと併用したときに最大の効果を引き出せるとされています。
これに対し、トシリズマブはMTX非併用でも併用と同等の有効性を発揮するとされています。MTXを使えない場合にはこの薬剤をよく用います。また、アバタセプトは感染症を誘導する副作用が他の生物学的製剤に比べて少ない印象です。高齢で副作用、特に感染症発症が問題になる患者さんにはこの薬剤を使うという判断もあります。これについては、論議はありますが、ひとつの目安である。やはり、生物学的製剤の使用ガイドラインの策定が待たれます。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.07.03更新

日本リウマチ学会(JCR)は5月20日、学会員に向け、抗好中球細胞質抗体関連血管炎(ANCA 関連血管炎:AAV)にリツキシマブ(商品名リツキサン)を投与する場合、特定使用成績調査に協力するよう呼び掛ける声明を発表した。特定使用成績調査は、副作用などの情報を収集するために製薬会社が自主的に実施しており、学会として協力することを決めたという。リツキサンは通常B細胞性慢性骨髄性白血病やリンパ腫に使用される。
AAVへのリツキシマブ投与は、2013年6月に厚生労働省が公知申請を認め、適応が追加された。海外の大規模臨床試験(RAVE試験、RITUXVAS試験)および科研費研究「難治性血管炎に関する調査研究班」で行った多施設共同臨床研究(RiCRAV)の結果を根拠としているが、現時点では日本人での安全性に関するデータが少ない。
そこでJCRは「日常診療での副作用情報の集積は極めて重要」と考え、今回の声明に至ったと説明している。リウマチ膠原病の分野で、リツキサンは適応拡大が示唆されており、血管炎に使えるようになれば、患者さんに対する恩恵は大きいと期待される。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.07.03更新

関節リウマチ(RA)にも使われるTNF-α阻害薬の炎症性腸疾患(IBD)患者への投与は、がんリスク増大と関連していないことが、デンマーク・血清研究所(Statens Serum Institut)のNynne Nyboe Andersen氏らによる同国レジストリ患者対象コホート研究の結果、報告された。追跡期間中央値3.7年で、TNF-α阻害薬投与群と非投与群の補正後がん発症率比は1.07であったという。TNF-α阻害薬治療後のがんリスクを含む有害事象の検討については、コクランレビューとネットワークメタ解析の結果、全国レジストリの大規模データベースに基づく評価が適切であるとの結論が示されていた。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より引用。日本では、日本リウマチ学会(JCR)がリンパ腫などの発症頻度について検討しているが、現在のところTNF-α阻害薬ががんリスクを増大させるという知見は得られていない。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.07.01更新

関節リウマチ(RA)患者956人を対象に、トファシチニブ単剤療法の効果を第3相試験で検討(ORAL Start試験)。トファシチニブ5mg群、10mg群ともに、メトトレキサート単剤治療群に比べて修正総Sharpスコアの平均変化が小さく、米国リウマチ学会基準70%以上改善(ACR70)達成率が高かった(全てP<0.001)。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.06.12更新

米国リウマチ学会(ACR)は11月27日、ACRのArthritis & Rheumatismに掲載された米国の小都市におけるリウマチ専門医不足についての最新調査結果を紹介した。2005年のACR労働力調査では、リウマチ専門医の不足数は2010年までに400人、2025年までには2500人に増大すると推定。今回の調査では、ACR会員データを利用して、米国でのリウマチ専門医の開業分布を調査。その結果、開業しているリウマチ専門医3920人のうち90%が首都圏で開業。小都市での開業は3%、農村部では7%であった。また、小都市のなかにはリウマチ専門医が200マイル以内にいなかったり、地域内に全くいなかったりする地域も見られた。開業地域は人口の多い地域に集中しており、平均収入も高い。自己免疫疾患や炎症疾患患者にとって、関節の損傷を最小限に抑え、身体機能を改善し、寛解に至るためには発症から最初の数カ月が最も重要である。そして、リウマチ専門医が早期診断と治療の中心となる専門医となる。研究著者らは、リウマチ専門医の不足している地域への専門医補充には介入が必要であるとしている。地域ごとの最新リウマチ専門医数データの提供、不足地域の会員に対する資金提供の増大、ナースプラクティショナー(NP)および医師助手(PA)の役割拡大に取り組むようACRに提案している。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.06.12更新

米国リウマチ学会(ACR)は11月27日、ACRのArthritis & Rheumatismに掲載された米国の小都市におけるリウマチ専門医不足についての最新調査結果を紹介した。2005年のACR労働力調査では、リウマチ専門医の不足数は2010年までに400人、2025年までには2500人に増大すると推定。今回の調査では、ACR会員データを利用して、米国でのリウマチ専門医の開業分布を調査。その結果、開業しているリウマチ専門医3920人のうち90%が首都圏で開業。小都市での開業は3%、農村部では7%であった。また、小都市のなかにはリウマチ専門医が200マイル以内にいなかったり、地域内に全くいなかったりする地域も見られた。開業地域は人口の多い地域に集中しており、平均収入も高い。自己免疫疾患や炎症疾患患者にとって、関節の損傷を最小限に抑え、身体機能を改善し、寛解に至るためには発症から最初の数カ月が最も重要である。そして、リウマチ専門医が早期診断と治療の中心となる専門医となる。研究著者らは、リウマチ専門医の不足している地域への専門医補充には介入が必要であるとしている。地域ごとの最新リウマチ専門医数データの提供、不足地域の会員に対する資金提供の増大、ナースプラクティショナー(NP)および医師助手(PA)の役割拡大に取り組むようACRに提案している。日本でも同様の傾向ありであり、憂慮すべき問題である。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.05.31更新

毎年、関節リウマチをはじめとする関節炎を有する病気は、梅雨時に悪化することにちなんで、6月をリウマチ月間に決めています。
いうまでもなく、気圧の変化や湿度などが、自覚症状の増悪因子であることは、経験的に知られています。しかし、なかなか証明は難しかったのです。京都大学のリウマチセンターが、緻密な解析をして、気圧の低下が増悪因子であるkとを突き止めました。今年の梅雨は、空梅雨かしっかりした梅雨か分かりませんが、この機会に心配な患者さんは、是非リウマチ専門医(できれば内科)を受診されることをお勧めします。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2014.04.26更新

関節リウマチ(RA)治療に対して生物学的製剤が広く用いられるようになり、有用性が確認されている一方、有害事象として感染症が報告されており、特に結核の発症には注意する必要がある。そこで、倉敷成人病センター リウマチ膠原病センターの吉永泰彦氏らは、日本人RA患者における結核の標準化罹病率の10年間の推移と生物学的製剤の影響を検討した。吉永氏は、RA患者の結核罹病率に、生物学的製剤投与による増加は認められなかったと解説した。

対象となったのは、国立病院機構免疫異常ネットワークを中心とした全国規模リウマチ性疾患データベース(NinJa)に登録されたRA患者6万7,104人。日本結核予防会が作成した年齢階級別罹患率より、結核の標準化罹病率(standardized incident ratio;SIR=実測罹患数/期待罹患数)を算出し、前向きに、2年毎10年間の推移を検討した。

10年間の追跡期間中、51人に結核が発症し、SIRは3.48(95%CI 2.53-4.44)だった。

2年毎のSIRの推移を見ると、2003-04年度は3.81、2005-06年度は3.72、2007-08年度は4.76、2009-10年度は2.09、2011-12年度は1.27と、2007-08年度をピークに、その後低下傾向を示した。

結核を発症した51人(男性15人、女性36人)の平均年齢は65.0歳、RA平均罹病期間は11.3年で、肺外結核が21.6%に認められた。

生物学的製剤投与の有無別に、10年間のSIRを見ると、生物学的製剤投与患者は2.64(95%CI 0.33-4.95)、非投与患者は3.69(2.63-4.74)と、生物学的製剤を投与している患者の方が、結核のSIRが低かった。

これらの結果より、吉永氏は「RA患者の結核罹病率は、2007-08年度をピークに低下傾向を示し、生物学的製剤投与による増加は認められなかった」と解説し、「この理由として、生物学的製剤の導入にあたり、ガイドラインに従って結核のスクリーニングや化学予防などが適切に施行されていることが考えられる」と考察を述べた。

胸部:Xpやクオンティフェロンのチェックがのぞまれる。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

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2024/01/15
令和6年2月より、月曜日午後診療はセカンドオピニオン専用外来とします。
2023/12/13
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【夏季休診のお知らせ】来る8月10日(木)から、8月16日(水)はお盆休みの休診となります。
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年末は、12月28日水曜日午前診療まで行います。 年始は、1月5日木曜日午前診療から診療再開します。 ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
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