変形性膝関節症に対するヒアルロン酸局注は痛みと機能を改善 するか?
2017.06.05更新
最近多くなってきた質の高いスタディによると、変形性膝関節症に対するヒアルロン酸局注は、偽薬の注射に比べわずかしか痛みと機能を改善しない。米国では否定的な意見が主流である。無作為比較試験のメタアナリシスのスタディの著者らは、複数のデータベースと臨床治験レジストリを検索して、変形性膝関節症患者に対するヒアルロン酸注射と対照治療とを比較した無作為比較試験を特定した。それぞれの無作為比較試験の選択基準は、介入群も対照群も30例以上の症例を含む、疼痛および機能尺度に関して臨床的に重要な差異を比較したものである、そして観察期間が4週間以上だった。ただし著者らはスタディの選択過程を記述していなかった。最終的に、約4500人の患者を対象とした19の研究が含まれた:14のスタディは対照治療として擬似注射を、 2つは通常のケアを、3つは関節注射に他の治療を組み合わせたものだった。著者らは、統計的に有意な出版バイアス認められなかったと報告していた。対照治療に擬似注射を用いた研究では、対照治療に比べヒアルロン酸注射は疼痛および機能の改善においてわずかに良好であったが、その改善は臨床的に重要なものではなかった。同様に、二重盲検試験での改善も臨床的に有意なものではなかった。バイアスのリスクが高い他のデザインのスタディでは、痛みや機能の改善はより大きい傾向があった。要するに、ヒアルロン酸関節内注射では、痛みや機能を改善しないというのが結論である。膝関節のヒアルロン酸注射が巧いという整形外科に行列ができるのは不思議である。
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