関節リウマチ(RA)治療に対して生物学的製剤が広く用いられるようになり、有用性が確認されている一方、有害事象として感染症が報告されており、特に結核の発症には注意する必要がある。そこで、倉敷成人病センター リウマチ膠原病センターの吉永泰彦氏らは、日本人RA患者における結核の標準化罹病率の10年間の推移と生物学的製剤の影響を検討した。吉永氏は、RA患者の結核罹病率に、生物学的製剤投与による増加は認められなかったと解説した。
対象となったのは、国立病院機構免疫異常ネットワークを中心とした全国規模リウマチ性疾患データベース(NinJa)に登録されたRA患者6万7,104人。日本結核予防会が作成した年齢階級別罹患率より、結核の標準化罹病率(standardized incident ratio;SIR=実測罹患数/期待罹患数)を算出し、前向きに、2年毎10年間の推移を検討した。
10年間の追跡期間中、51人に結核が発症し、SIRは3.48(95%CI 2.53-4.44)だった。
2年毎のSIRの推移を見ると、2003-04年度は3.81、2005-06年度は3.72、2007-08年度は4.76、2009-10年度は2.09、2011-12年度は1.27と、2007-08年度をピークに、その後低下傾向を示した。
結核を発症した51人(男性15人、女性36人)の平均年齢は65.0歳、RA平均罹病期間は11.3年で、肺外結核が21.6%に認められた。
生物学的製剤投与の有無別に、10年間のSIRを見ると、生物学的製剤投与患者は2.64(95%CI 0.33-4.95)、非投与患者は3.69(2.63-4.74)と、生物学的製剤を投与している患者の方が、結核のSIRが低かった。
これらの結果より、吉永氏は「RA患者の結核罹病率は、2007-08年度をピークに低下傾向を示し、生物学的製剤投与による増加は認められなかった」と解説し、「この理由として、生物学的製剤の導入にあたり、ガイドラインに従って結核のスクリーニングや化学予防などが適切に施行されていることが考えられる」と考察を述べた。
胸部:Xpやクオンティフェロンのチェックがのぞまれる。
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