2025年問題、先制医療で解決
2015.04.13更新
第29回日本医学会総会の学術講演が4月11日から13日までの3日間の日程で京都市で開催され、会頭の元京大総長の井村裕夫氏は、「日本の未来のために、いま医学・医療は何をなすべきか」をテーマに開会式で講演、「2025年問題」と称される高齢社会の医療を乗り切る方策として、「先制医療」の重要性を強調した。日本が高齢化社会を迎えることは不可避である。高齢者が急速に増加する時代で必要となるのが、「非感染性疾患」(NCD)への対応だ。「非感染性疾患」(NCD)は、遺伝素因と環境因子の相互作用が考えられ、加齢とも関係し、無症候期が長いなどの特徴を有する。最近、研究が進んでいるのが、遺伝素因と環境因子の相互作用。もっと分かりやすく言えば、「胎生期に貧しい環境にあると、生後も貧しい環境で生きていけるよう、体格は小さくなる。しかし、生後、急に豊かな環境に変わると、メタボリックシンドロームなどを発症しやすくなる。発展途上国で、糖尿病や心臓病などの増加が見られることも、これにより説明できる」となる。井村氏が「予防医学」ではなく、「先制医療」との言葉を使うのは、理由がある。「集団の予防」が主である「予防医学」とは異なり、「先制医療」は「個の予防」に重点を置き、遺伝素因を調べ、ハイリスク者を見つけ、バイオマーカーなどで発症前診断を行い、発症前介入などを行っていくことを想定しているからだ。こうした取り組みが喫緊の課題であるのが、アルツハイマー病だという。これまでは、「病気になる人を待っている」医療だったが、先制医療が求められる時代では、「今までとは違った新しい公衆衛生の在り方を追求していくことが必要」とした。その上で、少子高齢社会の医療の課題として、(1)病診連携の確立、(2)終末期医療、(3)医療資源の効率のよい活用、(4)チーム医療、(5)周産期医療・小児医療の充実、(6)医師養成の在り方――を挙げ、「詳細構想の検討が喫緊の課題」と述べた。リウマチや膠原病にもこのようなアプローチが必要であろう。
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