膠原病について
膠原病について
膠原病とは
膠原病とは原因不明の病気で、1942年にクレンペラーという病理学者が提唱した疾患概念であり、結合組織に「フィブリノイド壊死」という変化が見られる疾患群をさします。前述のRA、SLE、SSc、DM、多発性動脈周囲炎、リウマチ熱などの多くの全身性自己免疫疾患をさします。SjSや複数の疾患を併せ持つ混合性組織病(MCTD)なども含まれます。
膠原病の症状
膠原病の症状としては、原因不明の発熱や、全身の血管や皮膚、関節などの炎症や湿疹、関節の痛みなどが共通してあらわれております。膠原病はとくに女性に多く見られる病気で、若い女性の原因不明の発熱として発見されるケースが多くありますが、男性にも当然おこります。皮膚症状・関節症状・呼吸器症状をきっかけとして、発見されることもあります。
膠原病の原因
膠原病の原因としては、以前までは原因不明の病気として扱われていましたが、近年ヒト遺伝子の研究の進歩によって、一部の膠原病は遺伝的な要因が考えられるようになってきました。これで、全容が解明されたわけではありません。
しかし、遺伝的な要素だけでは発病せず、膠原病の発病には色々な環境因子と呼ばれるものが理由として発症します。具体的には、風邪などのウイルス感染症が引き金となって発病したり、太陽からの紫外線の影響を受けて発病することもあります。また生活習慣病のように食事習慣や飲酒、喫煙などは膠原病の発病には直接は因果関係がないと考えられています。しかし、増悪因子にはなりえます。
膠原病の診察
膠原病の診察として、まず原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が現れた場合、膠原病に特徴的な体調の変化があるかどうか診察を行います。患者さんによって千差万別ですので、経験ある膠原病専門医(日本リウマチ学会専門医ないし指導医を有する内科医)でないと的確な診断や治療ができません。
膠原病の特徴として共通して見られる症状としては、冷たい水に使ったときや冬の寒い日に手足の先が白く変化し、手足のしびれなどがあらわれます。これは手足先などの循環障害が原因と考えられています。これを「レイノー現象」と呼びます。
関節の痛みや腫れについては、RAの可能性もあるため、どの場所の関節が痛いのか、腫れているかによって診察が異なってきます。
そして身体診察の結果から膠原病が疑われますと、次に血液検査を行います。この血液検査では、膠原病の確定診断につながる特異的な自己抗体検査が必要となってきます。さらに、Xp検査・CT検査・MRI検査を行い、診察所見や血液検査の結果を総合的に判断して、診断基準を満たして「膠原病」と診断されると、実際に治療に入ります。
膠原病の治療
膠原病の治療では、膠原病の種類によって治療法は異なりますが、一般的にはステロイド治療と呼ばれているもので、各病状に応じて薬の使用量を変更します。まずはじめは少し多めの量から治療を開始し、そしてステロイドの量を徐々に減量していきます。減量のペースは一般的にはゆっくりと行い、10%の減量ペースが一般的です。病状によってはステロイドが劇的に効く例もありますが、使用方法などが難しいので、治療経験豊富な専門医である「リウマチ専門医ないしリウマチ指導医」による治療が望ましいです。
このステロイド治療は、膠原病治療に対して効果も十分期待できますが、逆に、副作用も注意が必要です。不眠、便秘、脱毛、にきび、むくみなどのホルモン作用による外部の影響の他に、ステロイド治療を長期で行っていると高血圧、糖尿病、高脂血症などのいわゆる生活習慣病と呼ばれる病気を併発する可能性があります。また、骨を弱らせる骨粗鬆症や、感染症にかかりやすい弱い体質になったりする可能性があります。このステロイド治療はそれだけ使用する際に細心の注意が必要です。