本研究では、糖質コルチコイド(ステロイド)により完全奏効が得られなかった特発性多発性筋炎患者にシクロスポリンおよびメトトレキサート(MTX)を追加投与した場合の有益性をプラセボ対照要因ランダム化比較試験(RCT)において評価した。その結果、MTXおよびシクロスポリンは(単剤または併用して追加投与した場合)、糖質コルチコイドにより完全奏効が得られなかった筋炎患者において臨床像を改善しないことが示唆された。日本では、この組み合わせの治療はされているが、有効性に対するエビデンスはない。
多発性性筋炎(BohanとPeterの診断基準により)で副腎皮質ステロイドを投与されている成人患者を組み入れた。
56週間の多施設共同要因デザイン二重盲検プラセボ対照RCTにより、ステロイド薬のみ、MTX(週に15-25mg投与)とステロイド薬併用、シクロスポリン(1-5mg/kg/日)とステロイド薬併用、および3種類の治療薬をすべて併用した場合を比較した。
合計359人をスクリーニングし、58人をランダム化した。
58人のうち37人が12カ月間の治療を完了し、7人が追跡不能となり、14人が治療を中止した。
12カ月間の治療を完了した患者では、徒手筋力テスト(14%変化)、歩行時間(22%変化)および機能(9%変化)において統計学的に有意な改善が見られた(対応のあるt検定でP<0.001)。
Intention to treat解析および完了例に基づく解析から、ステロイド薬にプラセボを追加した場合に比べて、シクロスポリン単剤療法の追加、MTX単剤療法の追加およびシクロスポリンとMTX併用療法の追加に統計学的に有意な治療効果は見られないことが示された。しかし、日本ではこの併用療法はよく使用されており、本邦での治療成績の解析を期待したい。
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