2016.09.28更新
中年に多い膝関節のトラブル半月板断裂であるが、意外な結果が出た。X線検査で変形性関節症の所見がない変性半月板断裂の中年患者140例を対象に、監視下での運動療法と関節鏡下半月板部分切除術に対する優越性を無作為化比較試験で検証した。追跡2年時の膝関節損傷と変形性関節症転帰スコア(KOOS4)の変化に2群間で臨床的意義のある差はなかった(0.9ポイント、95% CI, -4.3 - 6.1;P=0.72)。3カ月時の大腿筋力は運動群で改善した(P≦0.004)。つまり、手術しなくとも、運動療法で十分回復することが判明した。
投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック
2016.09.24更新
第16回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(部会長:岡部信彦・川崎市健康安全研究所長)で部会員と厚生労働省は、一部で不足が起きている麻疹風疹混合(MR)ワクチンを、小児の定期接種に最優先で配分していくよう関係者に働きかけていくことで一致した。当日予定されていた議題ではなかったが、一部の小児科でMRワクチンの定期接種の受付中止などが相次いでおり、部会長からコメント取りまとめが提案された。関西空港をはじめとする関西地方を中心とする麻疹集団発生に伴い、感染者発生で緊急接種が必要となる地域以外の一部機関で、MRワクチンが通常以上に発注されたといったことなどが原因で、地域によりワクチンの在庫に偏在が生じているというのが現状である。当院にも接種希望者の問い合わせが多くあるが、現実的にはMRワクチンの入手は困難である。やはり、品薄が現実であるため、小児定期接種を優先的にすることで合意形成されつつあるので、成人の希望者にはご理解を賜りたい。先ずは、抗体価の測定および母子手帳の記録の確認をお願いしたい。
投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック
2016.09.21更新
関節リウマチ(RA)や膠原病の関節痛や神経痛に、リリカが頻用される傾向にある。しかし、リリカはガバペンに近い構造、改良されたとの触れ込みだが、実は抗てんかん薬なのである。当然、眠気、目眩、健忘等々の諸症状に注意を払わねばならないはずだ。この点を十分に説明しないで、安易に処方されているような印象がある。とりわけ線維筋痛症には頻用されるが、パロキセチンとの併用では健忘が強く出る。
抗てんかん薬に近い薬剤という認識を熟知して欲しい。
投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック
2016.09.14更新
低エネルギー外傷による手首(遠位橈骨)骨折歴を有する高齢者はそうでない場合に比べ平衡機能が悪化しており、将来の外傷リスクが高まっているとの研究結果が明らかになった。。今回の検討では過去6-24カ月以内に手首骨折の既往を有する、受傷時点で65歳以上の23例と年齢、性をマッチさせた骨折歴のない23例の平衡機能などを比較した。手首骨折群にはほかに重大な外傷イベントのない、転倒による低エネルギー損傷の患者がエントリーされ、脳卒中やてんかん、めまいなどの平衡機能障害を生ずる基礎疾患のある人は除外された。
検討の結果、手首骨折既往のない群では動的動作解析(dynamic motion analysis: DMA)スコアは790ポイントであったのに対し、手首骨折の既往を有する群では平衡機能の悪化(平均-933ポイント)が見られた。手首骨折群の83%(19例)は過去5年に骨粗鬆症検診(DXA法)を受けていたが、その間に理学療法として平衡機能訓練が行われていた割合は9%(2例)のみだった。
今回の検討から、高齢者の低エネルギー外傷に伴う手首骨折の既往は、平衡機能障害の検索や治療により、そのあとの大腿骨や椎体骨折を予防する必要があると認識すべきと述べている。
高齢者のエネルギー摂取は重要である。
投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック