クリニックBLOG

2015.01.28更新

本研究の目的は、診断特異性が高い抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体陰性およびX線画像上のびらんの不在下での関節リウマチ(RA)の臨床的疑い例の確定診断における磁気共鳴画像法(MRI)の実行可能性を評価することにあった。MRIはコストも高くすべての医療機関でしこうできるものではないので、クリニックでの意義は不明である。しかし、外注検査クリニックやMRI検査受注病院もあり、日本は欧米に比して、有利かもしれない。結果は、手関節における対称性の滑膜炎と同部位における骨びらんスコアの高値の所見がMRIから得られれば、抗CCP抗体陰性患者におけるRAの早期診断の助けとなる可能性があることが明らかとなった。抗CCP抗体の陽性率は約60%であり、陰性の40%の早期診断にMRI検査が有用であることが示唆された。骨変化を来す前に思料介入するのが現在の主流であるから、レントゲン検査で異常がなくとも超音波検査ないしMRI検査は実施するのが早期RA患者さんには望ましい。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2015.01.20更新

本研究では、糖質コルチコイド(ステロイド)により完全奏効が得られなかった特発性多発性筋炎患者にシクロスポリンおよびメトトレキサート(MTX)を追加投与した場合の有益性をプラセボ対照要因ランダム化比較試験(RCT)において評価した。その結果、MTXおよびシクロスポリンは(単剤または併用して追加投与した場合)、糖質コルチコイドにより完全奏効が得られなかった筋炎患者において臨床像を改善しないことが示唆された。日本では、この組み合わせの治療はされているが、有効性に対するエビデンスはない。
多発性性筋炎(BohanとPeterの診断基準により)で副腎皮質ステロイドを投与されている成人患者を組み入れた。
56週間の多施設共同要因デザイン二重盲検プラセボ対照RCTにより、ステロイド薬のみ、MTX(週に15-25mg投与)とステロイド薬併用、シクロスポリン(1-5mg/kg/日)とステロイド薬併用、および3種類の治療薬をすべて併用した場合を比較した。
合計359人をスクリーニングし、58人をランダム化した。
58人のうち37人が12カ月間の治療を完了し、7人が追跡不能となり、14人が治療を中止した。
12カ月間の治療を完了した患者では、徒手筋力テスト(14%変化)、歩行時間(22%変化)および機能(9%変化)において統計学的に有意な改善が見られた(対応のあるt検定でP<0.001)。
Intention to treat解析および完了例に基づく解析から、ステロイド薬にプラセボを追加した場合に比べて、シクロスポリン単剤療法の追加、MTX単剤療法の追加およびシクロスポリンとMTX併用療法の追加に統計学的に有意な治療効果は見られないことが示された。しかし、日本ではこの併用療法はよく使用されており、本邦での治療成績の解析を期待したい。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2015.01.12更新

 米国リウマチ学会(ACR)は11月27日、ACRの学会誌Arthritis & Rheumatismに掲載された米国の小都市におけるリウマチ専門医不足についての最新調査結果を紹介した。これは、日本にも当てはまることであり、日本リウマチ学会(JCR)も専門医と学会認定施設の分散を推進している。
 2005年のACR労働力調査では、リウマチ専門医の不足数は2010年までに400人、2025年までには2500人に増大すると推定している。今回の調査では、ACR会員データを利用して、米国でのリウマチ専門医の開業分布を調査。その結果、開業しているリウマチ専門医3920人のうち90%が首都圏で開業。小都市での開業は3%、農村部では7%であった。また、小都市のなかにはリウマチ専門医が200マイル以内にいなかったり、地域内に全くいなかったりする地域も見られた。開業地域は人口の多い地域に集中しており、平均収入も高い。この傾向は日本でも同じで、首都圏と京阪神圏などの都会に集中している。とりわけ内科系リウマチ専門医は首都圏に集中している。
 自己免疫疾患や炎症疾患患者にとって、関節の損傷を最小限に抑え、身体機能を改善し、寛解に至るためには発症から最初の数カ月が最も重要である。そして、リウマチ専門医が早期診断と治療の中心となる専門医となる。加えてリウマチ類縁疾患の鑑別診断が重要であるが、整形外科系リウマチ専門医は膠原病やリウマチ性多発筋痛の診断や治療に難があることが少なからずある。
 この研究著者らは、リウマチ専門医の不足している地域への専門医補充には介入が必要であるとしている。地域ごとの最新リウマチ専門医数データの提供、不足地域の会員に対する資金提供の増大、ナースプラクティショナー(NP)および医師助手(PA)の役割拡大に取り組むようACRに提案している。日本でもリウマチエキスパートナースの養成を推進しているが、まだ十分効果を上げているとは言えない。リウマチ医療は、専門医のみならず、看護師、薬剤師、理学療法士などのチーム医療が必要である。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2015.01.11更新

英国の医学雑誌BMJによれば、2013年前半放送の医療番組(The Dr Oz ShowとThe Doctors)各40回分を対象に、その推奨内容を前向き観察研究で評価。160の推奨中、54%は1つの症例研究以上のエビデンスにより裏付けられた。番組別では、エビデンスの裏付けあり各46%、63%、矛盾あり15%、14%、エビデンスなし39%、24%だった。日本でも、NHKをはじめ医療関連番組は目白押しだが、「ためしてガッテン」でさえも、嘘が多く誇張や興味本位の内容が多い。民放の「〇Xのこわーいj話」に至っては、きわめてまれな症例を大げさに言って不安を駆りたてるものも多い。患者さんも冷静に受け止めて頂ければ幸いです。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

2015.01.02更新

新年を迎えまして、ご挨拶申し上げます。京都市は元旦午後から雪が舞い、近年にない降雪で波乱含みでスタートしました。さて、医療環境は益々厳しくなり、所費税増税は少し先送りされたものの、10%引き上げは確実となり、総費税増税分は医療・介護を含めた社会福祉にという約束は反故にされ、法人税減税や公共事業に回されており、こうした偽善政党当を多数の国民が支持したのか不思議でなりません。おそらく、消去法でこのような結果になったのではないかと思います。そもそも、医療・介護・年金の問題は、少子高齢化にあることは自明で、これを予見できなかったことを揶揄するのは、当たらないと思いますが、財源が豊かな時に老人無料という時代があったことは、多少なりとも国策の誤りは免れえないと思います。団塊の世代がすべて75歳以上になると言われる2025年まで、あと10年です。東京オリンピックなどと浮かれている時ではないと思います。現実に問題となるのが、難病の公費補助の変更が今年より始まります。これは、対象疾患は拡大されるものの、既存認定者にはこれまで以上に負担となります。消費税増税が見送られた現状を鑑みると、止む無しと思いますが、このやり方でこれからも維持できるのか不安です。高福祉国家はおおむね、税金が高いのが通例です。しかし、資本主義国家である以上、機会の平等は担保されねばなりませんが、結果の平等は要求されていません。頑張って働いているヒトが馬鹿を見ない医療制度・介護制度・年金制度の再構築を希望します。さもないと、負担ばかり大きくなる若年層は軽量な夜警国家観を希望するようになれば、たちまち制度は行き詰まります。そうすればリウマチ・膠原病に罹患している社会的弱者は窮地に陥ります。今後の適正な制度改革を期待して年頭のご挨拶とさせて頂きます。

投稿者: 石田内科リウマチ科クリニック

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2024/01/15
令和6年2月より、月曜日午後診療はセカンドオピニオン専用外来とします。
2023/12/13
年末年始の診療は、年末は12月27日(水)まで診療します。 年始は1月4日(木)より診療再開します。
2023/08/02
【夏季休診のお知らせ】来る8月10日(木)から、8月16日(水)はお盆休みの休診となります。
2023/01/11
【休診のお知らせ】先週末の連休中に、コロナ感染が判明して、一週間の自宅隔離、療養となったため、今週は臨床休診となりますので、よろしくお願いします。
2022/10/28
年末は、12月28日水曜日午前診療まで行います。 年始は、1月5日木曜日午前診療から診療再開します。 ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
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