「関節リウマチ(RA)治療ガイドライン2014」が2014年7月に公開予定です。公開に先立ち、厚生労働研究班によるガイドライン案が4月24日のワークショップで発表された。京都府立医科大学大学院医学研究科・免疫内科学の川人豊氏は、「MTX(メトトレキサート)」を担当し、その概要を報告した。川人氏は、8つのクリニカルクエスチョンに対する5つの推奨文を提示し、MTXや葉酸の有用性についてエビデンスレベルとともに解説。また、問題点として、日本人におけるMTXの適切な増量法や投与回数などのエビデンスが不足している現状に触れ、今後の検証が期待されると展望を述べた。
「MTX」カテゴリーは、8つのClinical Question(以下、CQ)に対する5つの推奨文で構成され、それぞれの推奨文には、推奨の強さと5点満点で評価した同意度が併記された。
最初のCQは、「MTX以外のcsDMARDs(conventional synthetic DMARDs;従来型合成DMARDs)不応関節リウマチ患者で、MTX投与は投与しなかった患者に比較して疾患活動性を抑制するのか」である。
川人氏は、コクランレビューにおいては、1997年にすでにMTXの有効性が示されており、現在までにそのエビデンスに変わりはないと解説し、「MTX以外のcsDMARDs不応関節リウマチ患者にはMTXの投与を推奨する(推奨:強い、同意度5.00)」とする推奨文を示した。
日常臨床におけるMTXの投与法は、医師により様々で、エビデンスが求められているが、「関節リウマチ患者で、MTX 1回投与は複数回投与に比較して有用性が高いか」とするCQについては、「MTX 1回投与も分割投与もいずれも推奨する(推奨:弱い、同意度4.39)」が提示された。
同氏は、MTXの投与法の有用性に関するエビデンスが少ないため十分には言えないが、現時点では投与法の違いによる効果や副作用に有意な差はなく、弱い推奨とした。今後、日本人におけるエビデンスを確立していく必要があると解説した。
さらに、葉酸使用に関するCQも取り上げられた。
「関節リウマチ患者で、MTX内服時の葉酸・活性型葉酸の投与は、MTXの副作用/治療効果を減弱させるか」とするCQについて、同氏は、1週間で7mg以下の低用量の葉酸の併用により、MTXの有効性は減弱されず、MTXの副作用である肝障害や消化管障害の抑制効果は認められるが、血球減少の予防効果におけるエビデンスは十分ではなかったと解説した。したがって、推奨文は「MTX投与時には葉酸併用を推奨する(推奨:弱い、同意度4.89)」となっている。
最後のCQは、「周術期にMTXの休薬は必要か」だ。
このCQに対し、同氏は、MTXを内服継続することで、感染や創傷治癒遅延は増加しないが、出血量が多い手術では休薬も考慮する必要があると解説し、「周術期にMTXを休薬することは推奨しない(推奨:弱い、同意度4.78)」とする推奨文を示した。
いずれも論議のあったポイントであったが、参考になるコメントが多かった。
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