「関節リウマチ(RA)治療ガイドライン2014」が2014年7月に公開予定である。公開に先立ち、厚生労働研究班によるガイドライン案が4月24日のワークショップで発表された。慶應義塾大学医学部リウマチ内科の金子祐子氏は、「DMARDs」を担当し、その概要を報告した。金子氏は、MTX以外のcsDMARDsに関するエビデンスは十分ではなかったと限界を示しながらも、ブシラミンなど日本特有のDMARDsを含む薬剤を検証したクリニカルクエスチョンについて解説した。
「DMARDs」カテゴリーは、メトトレキサート以外のcsDMARDs(conventional synthetic DMARDs;従来型合成DMARDs)を対象としたClinical Question(以下、CQ)で構成される。それぞれのCQに対する推奨文には、推奨の強さと5点満点で評価した同意度が併記された。
最初のCQは、「関節リウマチに対して、金製剤使用は、非使用に比して有用か」だ。
金子氏は、関節リウマチ患者における注射金製剤は、臨床試験において、疾患活動性改善、画像的関節破壊抑制効果に有効性が認められ、安全性の面でも有害性は高くなかったが、いずれの臨床試験も、現在の基準に照らした標準的評価はされていないと解説し、「関節リウマチ患者の治療選択肢として注射金製剤を推奨する(推奨:弱い、同意度4.26)」とする推奨文を示した。
また、「関節リウマチに対して、サラゾスルファピリジンの投与は、非投与に比して有用か」とするCQに対しては、「関節リウマチ患者の疾患活動性改善を目的としてのサラゾスルファピリジン投与を推奨する(推奨:強い、同意度4.50)」とする推奨文が提示された。
これについて同氏は、日本におけるサラゾスルファピリジン1000mg投与のエビデンスは十分ではないものの、欧米のエビデンスは豊富であり、臨床症状改善および画像的関節破壊抑制効果において有効性が認められているために、強い推奨としたと解説した。
関節リウマチに対して、レフルノミド投与は、非投与に比して有用か」とするCQに対して、同氏は、レフルノミドは、欧米を中心とした質の高いRCT、CCTにより有効性のエビデンスが蓄積されているが、日本の市販後調査では、間質性肺炎の出現や死亡が認められているために、推奨度は条件付きの弱い推奨としたと解説した。したがって、推奨文は「関節リウマチ患者の疾患活動性改善を目的としてのレフルノミド投与を推奨する。ただし日本人における副作用発現のリスクを十分に勘案し、慎重に投与する(推奨:弱い、同意度4.26)」となっている。
最後に、同氏は、本ガイドラインでは、欧州リウマチ学会(EULAR)ガイドライン2013年版では推奨から除外された金製剤を弱い推奨として残し、また、日本特有のDMARDsとして、ブシラミン、タクロリムス、イグラモチドを加えたことが特徴であると解説し、今後は日本人におけるエビデンスの構築が求められると展望を述べた。
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